【映画レポート13】映画版「鹿の王」感想 原作との違い


あの超大作小説原作の「鹿の王」の映画化がされました。鹿の王様のお話ということで観なければならずということで満を持して観ましたので感想です。
小説原作を文庫本で4冊、オーディブルで読破(?)している中で映画を観ました。
オーディブルだとセリフは入ってきましたが、固有名詞「独角」や「ミッツァル」など漢字の当て字があるものもカタカナでしか理解できずイメージ掴みづらいところがありました。
映画だと映像や声があるので少しわかりやすかったですね。
それでは感想いってみましょう。

原作:鹿の王
著者:上橋菜穂子
原作発売日:
監督:安藤雅司
出演:堤真一、竹内涼真、杏
公開:2022年2月4日
放映時間:114分
興行収入:2億~4億円?
賞:2015年本屋大賞
監督は「もののけ姫」や「君の名は」の作画監督で知られる安藤雅司監督。
アニメーションも「攻殻機動隊」シリーズのProduction I.Gが担当して盤石な体制。
声優陣は俳優陣が固めてどうなのか?と思うところも多々あったが、ふたをあけてみたら違和感無く聞けた。
興行収入はそこまで振るわなかったが、映像化へのチャレンジと2時間でまとめたところには素直に称賛しかない。
原作大好きですが、映画も好きになりました。
詳細は以下に書いていきます。
あらすじ
強大な帝国・東乎瑠から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てることにする。一方、謎の病で全滅した岩塩鉱を訪れた若き天才医術師ホッサルは、遺体の状況から、二百五十年前に自らの故国を滅ぼした伝説の疫病“黒狼熱”であることに気づく。征服民には致命的なのに、先住民であるアカファの民は罹らぬ、この謎の病は、神が侵略者に下した天罰だという噂が流れ始める。古き疫病は、何故蘇ったのか―。治療法が見つからぬ中、ホッサルは黒狼熱に罹りながらも生き残った囚人がいると知り…!?
たったふたりだけ生き残った父子と、命を救うために奔走する医師。生命をめぐる壮大な冒険が、いまはじまる―!
出典:Amazonリンク
これだけ見てもよくわからないですね。笑
漢字の読み方が分からない中で小説を読んだり、映画を視聴するのは厳しいかもしれないです。
映画を観る前にあらすじだけでも読んでおくと理解しやすいと思いますので、あらすじを読むことをおすすめします。

以下よりネタバレ入るから注意するんじゃぞ。
評価・評判
主な意見や評価・評判を集めてみました。
- 竹内涼真のホッサル好き!神
- ちょっとわからなかった
- かなり駆け足で展開に納得いかず惜しい
- キャラの魅力は十分描けてた
- 子育て世代には刺さる…
- 最後のOne reasoneが最高だった
- 今の時代に沿ったすごく良いテーマ
- 最後はなんか鹿の王ではなくて狼の王になってなかった?
総じて「惜しい」というような感想が多かったです。
映像やキャラ、声優、主題歌など高評価は多い中で複雑な設定・ストーリーを2時間にぎゅっとしたことで展開が駆け足になったところがあったのかもしれません。

すべての感想はなんとなくわかります。
個人的良かった点
まず、BGMや主題歌がよかったです。
いきなりそこかよと言われるかもしれませんが、終わり良ければすべてよしというように、最後の締めと映画タイトルが入ってからの主題歌までの流れは個人的にすごくGood。
鳥肌がスタンディングオベーションしてました。
あとは、ユナが可愛いのと元気さと健気さにすごく癒されかつ泣いた。
どこで泣いたのか忘れたがなぜか泣いた。笑
原作では「おちゃ!」と言いながら木の実を頬いっぱいに入れてテントに入ってくるシーンがすごく好き。

映画だと「おちゃ」と一緒にピュイカに乗って楽しそうにしているところになぜか涙腺がやられた。笑
キャラ以外のところでいくと、鹿笛をつくるところはオリジナルでしたがかなり良い演出でした。
最後のシーンで鹿笛を吹くところはありがちですが、ばっちり刺さりました。
小説と違い叩かれるところは多いですが、このような原作に寄り添いつつの追加演出は高評価でした。
個人的悪かった点
まずは、やはりわかりづらいところですね。
原作文庫本4冊分なのでかなり厳しいとは思いますが、医療サスペンスとして多くの伏線がある中で簡略化させているのでどうしても飛び飛びになったり、魔法的な何か力で演出してしまってもったいないと感じてしまいました。
映画冒頭では文字で歴史背景など流れていましたが、やはり初見であらすじも追えていない人だとなんのこっちゃになってしまったのだと思います。
声優陣に対して批判的な方もいましたが、個人的にはよかったです。
魔法的な演出は少しもののけ姫に引っ張られているところが残念でした。パロディであればよいのですが、鹿の王は原作に忠実にやってほしかった。
原作と映画の違い
原作と映画の違いはこれまでにも書いてきましたが、以下気づきを書いていきます。
・登場人物、ストーリー、持っていきかたが全然異なる
・登場人物の5割くらいは出てないんじゃないか
・その中でよくまとめたというのはある
・サエの後追いの術で伏線回収というか、謎解きしていくようなところが少なかった
重要な登場人物が複数人出ていなかったので、ストーリーが異なる点が多々あり別物としてみるべきと思います。
「鹿の王」とは?
重要な「鹿の王」という意味とは?
感想の中では「最後に狼を引き連れていったから鹿の王ではなくて犬の王の方がいいんじゃないのか?」と言っている人がいました。
鹿の王の根幹を理解していない発言であり、もったいないと思います。
本作では鹿の王とは、群れを率いる長としての表現ではありません。
「鹿の王」とは、「盛りを過ぎた鹿が、本当の意味で群れの存続を支えて尊ぶ者」のことを指します。
権力や力が強い人が「王」なのではなく、群れの存続を考え自己犠牲を顧みず動くものが「鹿の王」と本作では呼ばれています。
映画・小説ともに最後はヴァンが狼とともに森へ行ってしまいますが、この行動こそが群れ(人々)のために「鹿の王」として役割を全うしていることになります。

個人的にこの鹿の王の意味合いはすごく心に残っており、自己犠牲ではならないにしても誰かのために助けられる・支えられる「鹿の王」のようなふるまいをしていきたいと感じました。
最後に
これまで良いところと悪いところをそれぞれ書いてきましたが、映画だけの人はぜひ原作を読んでほしいです。
原作は文庫本4冊分なので多いかもしれませんが、オーディブルでAudible会員プラン聴き放題対象になっているため会員費用以外はすべて無料で読破しました。
オーディブルでの読書もぜひご検討を。医療的な勉強にもすごくなります。
→(参考)オーディブルリンク
長でなく
目指すは強き
鹿の王
記事:これまでのまとめ五七五
ではでは。
原作のリンクをはっておきます。
原作:鹿の王小説リンク