【映画レポート2本目】「県庁の星」は小説原作なだけあってさすがの伏線回収


こんにちは。シカです。今回は2006年公開の「県庁の星」をamazonプライムで観てみたので感想を書いていきたいと思います。
本作は桂望実氏の同名小説をもとに映画化された作品じゃな。ベストセラーになっておるぞ。

目次
概要
- タイトル:県庁の星
- 監督:西谷弘
- 出演:織田裕二、柴咲コウ、佐々木蔵之介
- 原作:「県庁の星」著桂望実
- 公開:2006年
- 興行収入:20.8億円(一般社団法人日本映画製作者連盟より)

西谷監督は本作が映画監督デビュー作じゃ。他にも「容疑者Xの献身」などをてがけている監督じゃの。
内容は次のとおりです。
『踊る~』シリーズの織田裕二と『世界の中心で、愛をさけぶ』の柴咲コウ共演で贈る、奇跡の改革エンタテインメント・ムービー!順風満帆の人生を歩むキャリア公務員・野村聡。ある日、人事交流研修のために三流スーパー「満天堂」へと赴くが、店員たちはやる気がなく、さらに野村の教育係・二宮あきは年下のパート店員だった。さまざまな不幸や困難の中、二人は危機に瀕したスーパーの改革に乗り出す…。
Oricon データベースより
日本のお堅い行政マンの話ですね。詳しくみていきましょう。
※次章からネタバレを含みます。
あらすじ
主なあらすじだけをまとめてみたいと思います。
詳細は映画をみてください。
(1)順風満帆の出世街道をすすむ行政マン
- 主人公の野村(織田裕二)は書類づくりも早く、プレゼンも完璧、上司の覚えもよい
- マニュアル作成も完璧
- 200億円事業の「ケアタウン構想」の主担当の座を狙っている
- 県庁の屋上で優雅にコーヒー
- ケアタウン構想のために民間人事交流企画のメンバーに抜擢
(2)地元スーパーへの人事交流
- スーパー「満天堂」に人事交流で派遣
- 教育係が二宮(柴咲コウ)というパート(←野村不満)
- 何か成績を残したいが何もさせてもらえない(←野村不満)
- 県庁さん(野村のこと)は厄介な存在(←二宮不満)
- 他の人事交流メンバーに不祥事があり野村はバックヤードに
- バックヤードの不衛生な状況に「改善提案書」を提出(←二宮厄介)
(3)現場であがいてみる行政マン
- 不衛生な弁当を改善しようとスーパー内で2チームに分かれる
- 野村(高級食材)VSスーパーの人たち(安い弁当)
- 高級食材がまったく売れず、商品改良をしても売れない(←野村ショック)
- ケアタウン構想の主担当に同期が選ばれ、自分が外されたことを知る(←野村大ショック)
- 婚約を考えていた社長令嬢にもふられる(←野村大大ショック)
- スーパー側では保健所や消防署の調査で問題を指摘される(←二宮ショック)
- 野村は自暴自棄になり酔いつぶれる
(4)効率じゃなく心が大事だと知る行政マン
- 二宮が野村の「改善提案書」を読み必要なものを悟る
- 野村の行政マンパワーを活かし、スーパーの業務改善を図る
- 高級食材が売れない原因を調査するため二宮とデパ地下デート
- 女性心理を学び高級食材が売れ始める
- ケアタウン構想の竣工式に弁当を配送
- 人事交流の終了
- 野村は生活福祉課に自ら移動
(5)民間に寄り添う提案
- 野村は民間に寄り添うことを考えケアタウン構想の予算削減案を提出
- スーパーに消防署の調査がくるが野村も駆けつけなんとか対応
- 知事はケアタウン構想の削減案に対し「前向きに検討する」とだけ言って結局はとん挫
- 県庁の最上階にあるコーヒーサービスには集金箱が設置されるようになる
後味も含めて小気味よい作品でした
わかりやすいストーリーでありながら、最後に「県知事が削減案を検討するといいつつ結局は一蹴する行政の悪い部分」と「税金で賄われていたコーヒーを自分たちの費用で賄う改革部分」をどちらも描写することで甘々なハッピーエンドに終わることなく締まった作品になったと感じました。
出世街道だけに目を向けて人に寄り添うことができなかった主人公が挫折を通じ、周りの人に互いに協力することで何かを為すことで物事を解決していく。
寄り添うだけですべてがうまくいくわけではないと最後の県知事のところで突き放しつつも、それでも人々に寄り添いながら改善・提案をしていくとても前向きで現実的な終わり方になっていると思います。
アクションはなくとも感情の起伏やハラハラ感を演出することでとても楽しい作品でした。
小説が原作なだけあって伏線回収がさすが
伏線という伏線ではないかもしれませんが、しっかり構成された作品だなと思わされます。

私が気づいた伏線(?)を整理したいと思います。
①冒頭の倒れた織田裕二
作品冒頭では空き地に倒れた織田裕二を映すところから始まります。どうしてそんなことになるの?と疑問に思わせるところから物語をすすめ、終盤でどん底に酔いつぶれた織田裕二をその場にもってくることで「あら不思議」、簡単に伏線回収ができるという時系列をいじった伏線回収ですね。
②県庁で飲めるコーヒー
4、5回は景色の良い県庁のスペースでコーヒーを飲むシーンを出しています。それぞれ意味のあるカットとなっており、「優越感」「焦燥感」「同期の裏切り」「コーヒーすら飲まずに現場」「集金箱での改革」といった意味をもたせています。最後のオチで集金箱をもってくるあたり立派な伏線回収です。

お笑いでいうところの天丼回収ですね。笑
③山積みにした在庫たち
スーパーに野村が派遣されたところから山積みの段ボールを映しています。それをもって「改善提案書」を野村が書いているわけですが、保健所・消防署検査と組み合わせることで一気に改善する爽快感を演出できるわけですね。
④行政マンとしての能力
冒頭シーンでも書類作成マニュアルのシーンがあります。スーパーの改善提案書を一旦提示しますが、人々の心に響かず却下。そのあとスーパー改善の際に図面の読み取りや効率的な作業フロー、安全管理、条例の暗唱、予算削減案の提出などわかりやすい伏線ですが何度も回収することで印象づけています。
⑤高級弁当の意味
これが一番よかったですね。売上がいかないことで野村を打ち負かす狙いもあり、二宮とデートをする口実にもなり、「ケアタウン構想」の安全祈願祭で行われた直会の弁当にも選ばれるという。直会の弁当を配送しているときになるほどと唸ってしまいました。

気づいていた人も多いかもしれませんが…すばらしい伏線回収だと印象に残りました。
高級食材が冷めたら美味しくないというのも実は伏線回収しているのも見事じゃよ。

他にも言葉としての伏線回収もありましたが割愛します。
まとめ
あまり期待して観ませんでしたがなかなか面白い作品でした。
ではまとめ五七五です。
大事だぞ
マニュアルよりも
素の心
彷徨うシカ
素直の心がかけずに「素の心」と書いちゃいました。
他のまとめ五七五は以下にまとめていますよ。
記事:これまでのまとめ五七五
ではでは。