【映画レポート4本目】泣ける映画「ビューティフルマインド」は本当に泣ける


あのゲーム理論の元をつくった天才数学者の実話である物語を観てみました!
本作品はアカデミー賞のあらゆる賞を獲得している評価が高い作品じゃ。

目次
概要
- タイトル:ビューティフル・マインド「A Beautiful Mind」
- 監督:ロン・ハワード
- 出演:ラッセル・クロウ、エド・ハリス、ジェニファー・コネリ
- 原作:シルヴィアナサー「ビューティフルマインド」
- 公開:2001年12月21日
- 放映時間:135分
- 興行収入:$313,542,340(出典:that’s movie talkより)
- 賞:第74回アカデミー賞 作品・監督賞
:助演女優賞(ジェニファー・コネリ)
:脚色賞(ノミネート)
:主演男優賞(ラッセル・クロウ)

ロン・ハワード監督はあのヒット作である「ダ・ヴィンチ・コード」を手掛けた監督じゃ。
ラッセル・クロウは「グラディエーター」や「レ・ミゼラブル」にも出演しておるの。
なんと第74回アカデミー賞で4部門で入賞しているすばらしい作品です。
135分と長い放映時間ですが、それを感じさせないストーリーへの引き込み方です。
あらすじは以下のとおりです。
第74回アカデミー賞で、作品賞はじめ4部門を制覇した感動ドラマ。第2次世界大戦下のアメリカを舞台に、緊迫した時代を生きた実在の天才数学者の苦悩の人生を描く。
Movie Walkerより
数々の賞を総なめした作品について詳しくみていきましょう。
※次章からネタバレを含みます。
あらすじ
主なあらすじだけをまとめてみます。
詳細は事前情報無しに観ることをおすすめします!

もう一度記憶を無くして最初から観たくなる作品ですよ。
(1)プリンストン大学院へ入学(1947年9月)
- ジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)がプリンストン大学院数学科に入学
- 学生寮でチャールズ・ハーマン(ポール・ベタニー)と同室になる
- 「この世を支配する真理」の研究に励むが他の生徒から疎外
- ナッシュは就職先にウィーラー研究所を希望する
- 授業も出ず論文も出さないため教授にウィーラー研究所行きを断られる
- 画期的な経済理論であるゲーム理論(ナッシュ均衡)を発表

ナッシュ均衡は経済のノーベル賞であるノーベル経済学賞を受賞したものすごい経済理論じゃ。
(2)ウィーラー研究所に入所(1953年)
- ゲーム理論の成果によりウィーラー研究所に入所
- 国防総省のウィリアム・パーチャー(エド・ハリス)より極秘任務であるソ連の暗号解読を依頼される
- 腕にラジウム・ダイオードを埋め込まれる
- アリシア(ジェニファー・コネリ)と出会う
- チャールズとチャールズの姪マーシーと出会う
- ナッシュとアリシアが結婚する
(3)暗号解読と危機(1954年10月)
- 暗号の解読をあるところまで成し遂げるがスパイ容疑がばれて追われる
- パーチャーに助けられる
- アリシアが妊娠する
- 極秘任務を辞めたいとパーチャーに伝えるが拒否され精神的に追いつめられる
- 講演中にローゼン医師(クリストファー・プラマー)が現れる
- ナッシュを精神病のため入院させる
(4)病院へ
- ローゼン医師はアリシアにナッシュが統合失調症の精神障害を伝える
- チャールズは幻覚であった
- 暗号解読の指令もすべて幻覚であった
- 統合失調症克服のため過酷なリハビリを続ける
- 薬で症状は落ち着くが、薬の影響でアリシアとの行為を拒んでしまう
- ショックを受け薬を飲むのをやめてしまう
(5)再び暗号解読
- 薬の効果が抜け再び幻覚が見え始める
- パーチャーの指令により森の中の小屋で暗号解読を再開
- アリシアが異変に気付き家を出ようとする
- ナッシュも幻覚に気付き、精神障害を克服するように努力しはじめる
- 精神障害と戦いながらもプリンストン大学院で教授として授業と研究をつづける
(6)図書館での研究(1978年)
- いまだに精神障害(幻覚)と戦いながらも図書館で研究を続ける
- 徐々に学生たちと交流するようになる
(7)ノーベル賞へ(1994年)
- ノーベル経済学賞の候補だと知らされる
- ノーベル賞の授賞式で妻アリシアへの感謝を伝えてスピーチを締める
- そこにもまだ幻覚は残ったまま
以上です。

実話とは思えないほど壮絶な人生ですね。
圧巻のストーリーと演技

それでは映画の感想を述べていきましょう。
まずはなんといってもすばらしい構成とストーリーですね。
中盤までは社交的な交流が苦手な天才数学者が国家のために秘密裏に暗号解読を試みていくスパイ映画のようなスリルあり、男心をくすぐる展開で物語にスピード感やハラハラ感を演出します。
歴史に詳しい人であればそのような裏話があったのか?本当か?といった疑問が思ったかもしれませんが、私は違和感無く信じ込まされました。

まんまとやられたわけですね。
そこから中盤で、パーチャーやチャールズが精神障害による幻覚であったと明かされた衝撃ですよ。
久しぶりに映画を観ていて唸りました。やられたと。見事でした。
確かに以下のとおり後々思えば違和感があるシーンは多いのです。
- チャールズが酒場などにいても他の友達とは会話をしない
- パーチャーもナッシュ以外の他の人と会話をしていない(これはそこまで違和感ありません)
- 暗号解読したものを謎の屋敷にあるポストに投函(これは意味がわかりませんでした)
それらの構成をしっかりと描きミスリードさせつつ、見事に視聴者に衝撃を与えた展開は本当に見事です。

お見事じゃな!
そこからは精神障害との闘いや家族の愛や苦悩をしっかり時間をかけて描いています。
間延びするわけでもなくラッセル・クロウとジェニファー・コネリの演技力でしっかり魅せる映像になっています。
幻覚と現実を交互に映す演出や、リハビリの後遺症と思われるラッセルの独特の歩き方・目線の動かし方、ジェニファーの真摯な愛情表現と苦悩の叫びなどアカデミー賞で受賞するのも頷ける演出力・演技力でした。
嫌なキャラが一人もいなかったのもよかったです。
社交的じゃなく変わっているナッシュをからかいながらも飲みに誘っていたり、教授職を与えたり、同僚として心配する友達がいて、幻覚で登場するパーチャーやチャールズ、マーシーも憎めない人物として描かれていました。
暗号解読を行うサスペンス映画でもあり、天才数学者のすばらしい成果を追うストーリーでもあり、幻覚と戦うリハビリの物語でもあり、ハートフルで愛に満ち溢れた美しい映画でした。

実話とは思えない壮絶な人生ですね。
映画の中の名言を贈ろうの。「人生に確かなものはない。それだけは確かだ。」

感動のシーン
私が特に印象に残ったシーンがあります。
歳老いたナッシュが食堂に数十年ぶりに入ったときに周りの人々から次々とペンを贈られるシーン。
あのペンを置く風習はナッシュが大学院生の頃にも見かけており、すばらしい功績を残した象徴のようなシーンでした。
大学院生の頃にすばらしい経済理論を提唱したが、精神障害に悩まされ、学生たちには馬鹿にされることもありつつ、図書館でひっそり研究を続ける姿を観させられた後にあのシーンなのです。
その場にノーベル賞関係者にノーベル経済学賞と言われるよりも数倍うれしいことだったのかと見えました。

泣けましたね。最後のスピーチでも泣きました。
ジョン・ナッシュのすごさ~ゲーム理論(ナッシュ均衡)とは~

本作品のナッシュが発見したナッシュ均衡やらゲーム理論って何?
あらゆる学問に利用されている「この世のすべてを支配する真理」といっても過言ではないじゃろう。

まずは応用されている学問分野をみてみましょう。
- 経済学
- 生物学
- 会計学
- 宗教学
- 教育学
- スポーツ科学
- 交通工学
- 政治学 etc
このようにありとあらゆる学問で利用されるように普遍的な理論として活用されています。
概念的にどのような理論なのでしょうか。
利害の対立する事態にある集団の行動を数学的にとらえる理論。ゲームにおけるプレーヤーの行動様式をモデルにしたもので、経済現象の分析や軍事的シミュレーションなどに応用される。
出典:weblio辞書
集団で行動するときに何が起きるかを数学的に分析できる画期的な理論だということです。
では、ナッシュ均衡とはどのような状態なのでしょうか。
どのプレーヤーも自分だけではそれ以上の利益が大きくできない状態
出典:NABENAVI.net
つまりはナッシュ均衡の状態になるとどのプレーヤーも戦略を変更することが無くなるということです。
具体的には価格設定などが挙げられます。
ラーメン激戦区でA店、B店、C店が時期をずらしながらも互いに価格を下げていったとします。
これ以上原価的に下げられないという価格まで価格を下げるが、価格を上げると他店に客をとられるために価格も上げられないといった状態をナッシュ均衡というそうです。
このように世界がなんとなく向かう方向性を数学的に導き出したということです。
これはノーベル経済学賞の選ばれる要因となりますね。
ゲーム理論は面白そうなのでまた今度深堀してみます。
まとめ
やっぱりアカデミー賞などで賞をとっている作品は面白いですね。
精神障害といいつつ銃撃戦はどういう状態だとか突っ込みはあるかもしれませんが、映画として十分楽しめる作品になっていたかと思います。
最後にまとめ五七五を詠みたいと思います。
この世の理
愛と数字が
解き明かす
彷徨うシカ
フェルマーの最終定理やABC理論の証明がなされたときも数字のすばらしさを感じますよね。
他のまとめ五七五は以下にまとめていますよ。
記事:これまでのまとめ五七五
ではでは。