リーマンショックに気づいていた男たち「マネーショート 華麗なる大逆転」の感想


世紀の金融ショックであったリーマンショックとサブプライムローン問題に気づいていた男たちの物語「マネーショート」を観てみました。
世界経済が破綻することに賭けた男たちじゃな。世間の常識を疑う良い映画じゃ。

目次
概要
- タイトル:マネーショート 華麗なる大逆転[The big short]
- 監督:アダム・マッケイ
- 出演:クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット
- 原作:世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち
- 公開:2015年12月11日
- 放映時間:130分
- 興行収入:$133,346,510(出典:that’s movie talkより)
- 賞:第88回アカデミー賞
:受賞:脚色賞
:ノミネート:作品・監督、助演男優(クリスチャン・ベール)、編集賞
:主演男優賞(ラッセル・クロウ)

本作は実話に基づいて作成されておるぞ。すごい人たちがいたもんじゃ。
原作はこちらから。「マネー・ボール」という映画の原作を書いたマイケル・ルイスが世界同時金融危機について描くノンフィクションです。
本映画の概要は以下のとおりです。
2005年。風変わりな金融トレーダーのマイケルは、格付けの高い不動産抵当証券に信用力が低いはずのサブプライム・ローンが組み込まれていることに気づき、破綻は時間の問題だと見抜く。だが、好景気に沸くウォール街で彼の予測に真剣に耳を傾ける者など一人もいなかった…。ウォール街を出し抜く、アウトロー達の痛快、一発逆転エンターテインメント!
出典:amazon 「Oricon」データベースより
それではあらすじをみていきましょう。
※次章からネタバレを含みます。
あらすじ

本映画のあらすじを簡単にまとめていきたいと思います。
2005年に異変に気づき始める
(サイオン・キャピタル)
- “サイオン・キャピタル“のヘッジファンド・マネージャー”マイケル・バーリー“(クリスチャン・ベール)はMBSの違和感に気づく
- バーリーは上司のローレンス(トレイシー・レッツ)に住宅市場の空売り(ショート)を提案したが批判される
- MBSはリスクの高いサブプライムローンを混ぜた商品で2007年ごろにはデフォルトになると予測
- ゴールドマン・サックスで約1億ドル程度のMBSの保険契約(空売り)を締結させる
ゴールドマン・サックス側はリスク無く保険料がもらえると思っているので即締結
バーリーは馬鹿にされる - バーリーは他銀行でも同様の締結をする(合計約13億ドル)
(フロント・ポイント)
- ジャレド・ベネット(ライアン・ゴズリング)は空売りをしているトレーダーを知り興味をもつ
- ベネットは”フロント・ポイント“に間違い電話をかけてしまう
- フロント・ポイントのファンド・マネージャーであるマーク・バウム(スティーブ・カレル)はその間違い電話から住宅市場に疑念を抱く
- バウムは部下に対して住宅市場を調べるように指示
(二人組の個人投資家)
- チャーリー・ゲラー(ジョン・マガロ)とジェイミー・シプリー(フィン・ウィットロック)はハイレベルな取引にISDAマスター契約が必要だと知る
- 2人は住宅市場がバブルだという目論見書を見つけ、チャンスだと思う
- ゲラーはこのチャンスを掴むためISDAを取得しているベン・リカート(ブラッド・ピット)に協力を依頼する
(フロント・ポイント)
- 部下たちはバウムに指示されて住宅地に向かうと100軒中、4軒しか住人がいないことに衝撃をうける
- 不動産屋に会うとほとんどが変動金利契約で、みんな審査を通ると聞かされる
- バブル状態だと判断したバウムはBBBの債権CDSを購入するよう指示

CDSは企業の債務不履行にともなうリスクを対象にした金融派生商品のことじゃな。
2006年個人投資家も空売りを契約する
(二人組の個人投資家とベン)
- ISDA契約を持っているベンがドイツ銀行などとCODの空売りを契約
2007年にデフォルトが始まる
- MBSのデフォルトが100万件以上となるがいまだに債権価格は上昇
- バウムは格付け会社に赴き格付けランクを下げない理由を尋ねる
- バーリーは資産運用率がマイナス11.3%となる
(証券化フォーラム)
- まだトレーダーや住宅市場がMBSを信じて楽観視していることに驚く各々
- 合成CODの話を聞いたバウムはその商品を空売りするように指示
2007年7月から経営破綻の会社が出始める
それぞれ仕込んだ商品を処理し、収益を得る
- ベネットは4900万ドルの小切手を受け取る
- リカートたちは8000万ドルで売れた
2008年リーマンブラザーズの経営破綻
- バーリーもCDSを売却し、運用益489%、26億9000万ドルとする
- バウムは10億ドルでCDSを売ることを決意
良かった点
本映画でよかった点を書いていきたいと思います。
丁寧な説明があった
- 難しいテーマを写真や動画でまぎらす
- 丁寧に金融商品を説明
- メタ視点で途中に解説をいれる
金融商品を説明する際には、メタ視点をとりいれてストーリーを止めてでも解説を入れていました。
本来の映画ではストーリーに挟むとリズム感が無くなりますが、本映画では音楽や写真、映像を駆使してテンポよくストーリーと織り交ぜていました。
そこが脚色賞に選ばれた理由なのでしょう。
村上春樹の引用があった
村上春樹の著作「1Q84」の以下の文言が途中で引用されていました。
誰もが心の奥底では、世の終末の到来を待ち受けているのだ
出典:村上春樹「1Q84」
リーマン・ブラザーズの破産を描いているシーンの前後に挟んでいた引用だったかと思います。
衝撃的な内容とともに腑に落ちる引用でもあり印象に残りました。
村上春樹の世界での影響力も大いに感じましたね。

ちなみに1Q84は累計部数800万部をこえる大ベストセラーじゃよ。
ブラッド・ピットが渋い
本作でベン・リカート役を演じていたブラッド・ピットが相変わらず渋かったです。
ひげもじゃもじゃでしたが、存在感はんぱないです。
個人投資家2人に対して、経済破綻に賭けているということを理解しろと忠告するシーンはよかったです。
悪かった点
続いて悪かった点です。
- よくわからない描写がある
- 理解できない写真
- それでも説明が足りない
- それぞれのストーリーにリンクがない
実話なので仕方ありませんが、4組をとりあげたことで少し説明が足りていないところがあるように感じました。
それぞれ音楽や写真、メタ発言でうまいこと繋いでいましたがちょっと無理やり感がありました。
金融商品に知識の無い人ではふわっとわかるかもしれませんが、見終わった後によくわからない状態になると思われます。
これから学ぼうとする人にはものすごいよい教材ではありますので何とも言えませんね。
まとめ
リーマンショックの2年前以上から危険性を把握していた人たちがいたとは驚きの映画ですね。
本記事を書いている2020年5月2日現在もコロナショックの真っただ中ですので他人事ではなく勉強していきたいですね。
では、本記事のまとめ五七五です。
それほんと?
常識疑う
逆張り屋
彷徨うシカ
世間の常識を疑い数字をみている彼らの考え方はカッコいいし、参考になると思わされました。
以上です。
本記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。
他のまとめ五七五は以下にまとめていますよ。
記事:これまでのまとめ五七五
ではでは。